この記事で解決できる困りごと
- 改善活動をどう進めればいいか分からない
- 「やってみないと分からない改善」の扱い方に迷っている
- 改善が一度きりで終わり、継続しない
この記事でここを目指そう
- PDSサイクルの基本を理解し、すぐ使える
- 小さく・速く改善を回すスキルが身につく
- 現場で改善が続き、試行錯誤が進む“改善体質”をつくる
「改善を始めたいけれど、どこから手を付ければいいのか分からない…」
「PDCAは知っているけど、現場ではなかなか回らない…」
製造現場でよく聞く悩みです。
実は、作業改善・レイアウト変更・部品供給の見直しなど、現場の改善は “やってみないと分からない” ものがほとんど。
机上でいくら考えても、実際には違う結果になることは当たり前です。
そんな現場で圧倒的に使いやすいのが PDSサイクル(Plan–Do–See)。
PDCAよりシンプルで、“小さく・早く” 改善を回せるのが特長です。
この記事では、初心者でも理解できるように
- PDSサイクルとは?
- 特徴
- 使いどころ
- 現場での実例
- 成功のコツ(←読者に一番刺さる部分)
を、順を追って分かりやすく解説します。
PDSサイクル
Point:PDSサイクル
<PDSサイクルとは>
- Plan(計画) → Do(やってみる) → See(振り返る)の3ステップを繰り返して改善
<特徴>
- スピード重視(素早く回せる)
- 「See」で気づきを重視(数字+現地現物で評価)
- 小さな改善と相性が良い
<使いどころ>
- 新ライン立ち上げのパイロットラン
- 新治具や作業方法のトライ
- 改善案の小規模テスト
- 現場カイゼン(小改善):作業動作のムダ取りちょっとした治具改善作業手順の見直し不良率の軽微な改善現場の5S/整頓改善
1.PDSサイクルとは?
PDSサイクル(Plan → Do → See)は、
「計画 → やってみる → 振り返る」を高速で回す改善サイクル です。
P(Plan:計画)
「何を、どれくらい改善したいのか」を決める段階。
- 取り出し時間を10%短縮したい
- 動線を短くしたい
D(Do:実行)
計画した改善を、小さく試す段階。
- 部品位置を少し変えてみる
- 仮治具で動きを試す
S(See:振り返り)
実際にやってみて、どうだったのか “よく見る” 段階。
- 本当に早くなった?
- やりづらさは?
- もっと良い案は?
Sは See(見る) と書く場合も Study(学ぶ) と書く場合もありますが、目的は同じ「結果から学んで次につなげる」です。
この記事では分かりやすく See に統一して説明します。
2.PDSサイクルの特徴
PDSサイクルは一言でいうと “速く回せる改善サイクル”。
「S:振り返り」に重点があり、素早く回せるのが特徴で、現場改善に向いています。
現場改善に向いている理由は主に2つです。
① スピード重視で回せる
PDSは
(Plan1 → Do1 → See1)
→(Plan2 → Do2 → See2)
→ …
のように、「計画 → 実行 → 振り返り・気づき → すぐ次の改善」をテンポよく回せます。
失敗してもすぐやり直せるため、
“やってみないと分からない改善” 、“何度もサイクルを回してみたい試行ベースの改善”と相性抜群!
活用例:
- 新ライン立ち上げのパイロットラン
- 新治具や作業方法のトライ
- 改善案の小規模テスト
- 5S・ちょこっと改善
- 作業動作のムダ取り、作業手順の見直し など
② See(見る)で気づきを重視
PDSがPDCAと違うのは、「点検(Check)」ではなく「気づき(See)」を重視する点。
「良かった点/悪かった点」を振り返り、なぜそうなったのか? の気づきと学び、を重視します。
見るといっても “ただ見る” ではありません。
改善に必要な「3つのみる」があります。この3つが揃うと、次のPlanの質が大きく上がります。
現地現物で診る
数字に出ない“現場のリアル”を見る
現場で起きている事象・事実を必ずおさえる
- 作業者の迷い
- ムダな動き(探す/歩く/手待ち)
- 設備の微妙な停滞
- 物の置き方によるストレス
- 手順のわかりにくさ など
数字で診る
成果を定量的に判断する
数字の変化に着目し、何が起きたのかを定量的に把握
改善の良し悪しを感覚だけでなく数字で判断
改善では、再現性のある改善だけが定着
- 生産数・不良数
- リードタイム
- 工程内仕掛
- タクトタイム
- 作業時間、歩行距離 など
本質を見抜く
現地現物(現象)+ 数字(結果)を照らし合わせ『なぜそうなったのか?』の原因のヒントをつかむ
- 作業時間が短縮できた → なぜ? 実際は動作が減っていた
- 不良が減らない → なぜ? 作業者が迷うポイントが残っていた
- 生産数が伸びた → なぜ? モノの置き位置が改善された
気を付けてもらいたいのが、「See」は“気づき”がゴールではないことです。
気づきによって次のサイクルをより良くすることが目的だということを忘れないでください!
3.PDSサイクルの使いどころ
PDSは “まず試す → 気づく → 直す” の繰り返しが強みなので、
次のような改善に向いています。
- まずやってみないと分からない改善
- 小規模な改善・5S
- ライン立ち上げ時の初期トライ
- トライ&エラーを前提とした改善活動
- 現場で“止まっている改善”を動かす
- PDCAが重く感じるときの代替手段
PDCA・DMAICのような“管理が重い改善”とは住み分けるのがコツです。
① まずやってみないと分からない改善
小改善や現場改善の多くは、事前に完璧な計画を立てることが難しいです。
PDSの「即実行 → 観察 → 気づき」が役に立ちます。
細かい計画よりも、まず試す → 見る → 調整の方が改善速度が上がるため、まずやってみないと分からない改善に向いています。
- 作業台の高さを変えてみる
- 置き位置(レイアウト)を少し変える
- 新しい動線をテストする
- 治具の形状を簡易試作してみる
② 小規模な改善・5S活動
PDCAのような重い報告書や評価工程が不要でテンポよく回せるため「今日からできる軽い改善」に向いています。
- 5S改善(整理・整頓の導線見直し)
- ラベルやマーカーの配置を変える
- モノの置き場所の標準化
- 工程内のムダ動作削減(歩行・探す時間など)
③ 新ライン立ち上げ時の“初期トライ”
ラインのパイロットランは、何が起きるか事前に読み切れません。
“実際に動かしてみて初めて分かる問題”が多く、PDSの「Study(See)」で得た気づきが、次の修正に直結するため、ラインのパイロットランに向いています。
- ラインバランスの確認(ボトルネック探索)
- 新治具の使い勝手確認
- 作業者の迷いポイントの発見
- 設備と人の動きの相性チェック
④ トライ&エラーを前提とした改善活動
「Study=学習(See=気づき)」に重きを置くため、試行と学びのループが早く、試作・試運転・小ロット改善など、すぐに試してすぐ振り返りたいケースに向いています。
- 試作工程の改善
- 設備条件の最適化(温度、圧力、速度など)
- マニュアルの改善テスト
- 新作業手順の評価
⑤ 現場で“止まっている改善”を動かすとき
PDSは「まず動く」ことを重視し、停滞を打破できます。PDCAで失速している改善を、あえてPDSで回し直すと、改善速度が復活しやすいです。
- 会議だけで進まない改善
- 対策案が多すぎて決められない
- 分析に時間をかけすぎて止まる改善
⑥ PDCAが重く感じるときの代替手段
PDSは軽く回せる反面、体系的な管理は次に説明するPDCAやDMAICの方が得意です。
そのため、以下の使い分けをすると効果的です。
- 日々の改善:PDSで回す
- プロジェクト管理:PDCA/DMAICで回す
4.活用例:部品の取り出し時間を短縮したい場合
① Plan(計画)
目的:部品取り出し時間を10%短縮する
現状:箱が作業者の左側にあり、取りにくい
改善案:箱の位置を正面に変更してみる
② Do(実行)
箱の位置を仮移動して作業者に実際の動作をしてもらう
(マスキングテープで簡易的に位置を固定)
③ See(振り返り)
結果:手伸ばし距離が短くなり、取り出しやすくなった
改善:さらに15cm右に寄せた方が動きがスムーズになると判明
→ すぐに「次のPlan」へ
このように、PDSは 机上検討 → 大型改善 ではなく「とにかくやってみる」スタイルに最適です。
5.まとめ
- PDSは“軽く・速く”改善したい場面に最適
- PDSサイクルは「計画→実行→振り返り」で改善を高速に回す方法
- PDCAよりシンプルで、小さな改善に向いている
- 現場改善・ライン立ち上げ・QCサークルなどで特に効果的
- “やってみて見て改善する”を繰り返すことで改善が加速する
| 活動内容 | PDSの向き・不向き |
| 小改善・現場改善 | ◎ とても向いている |
| 試作・パイロットラン | ◎ 効果が出やすい |
| 日々の改善活動 | ◎ サイクルが軽い |
| 大規模プロジェクト | △ PDCA/DMAICの方が管理しやすい |
現場の改善活動で成果が出ないときは、
まずは PDSを小さく・素早く回す ことから始めるのがおすすめです。
6.成功のコツ
PDSは“やって見て気づく”の連続が成功のカギです。
① とにかく“まずやってみる”を徹底する
改善は、やってみないと分からないことがほとんどです。
計画に時間をかけすぎず、小さくていいので即トライ することで、改善が前に進みます。
② 改善は「小さく・速く」回す
PDSはスピード勝負です。
大きな改善を一度にやろうとすると失敗しやすく、サイクルも止まってしまいます。
- 小さい変更
- 仮設置
- テープ固定
- 仮治具
など、小さく短時間で試せる工夫 が成功のポイントです。
③ “See(見る)”を丁寧にする
多くの現場で見落とされるのがこの部分。
- 作業の様子を見る
- 作業者の表情を見る
- 動きが滑らかかどうか
- ムリ・ムダ・ムラが増えていないか
など、現場をよく観察して気づくこと が、次の改善のタネになります。
④ 完璧を求めず、試行錯誤を楽しむ
PDSは「試す → 気づく → もっと良くする」を繰り返して成長する方法です。
最初から完璧を目指す必要はありません。“失敗して当たり前” くらいの気持ちで動く方が改善は進みます。
⑤ チームで共有し、改善を止めない
改善は1人で進めるよりも、チームで回す方が気づきの量が増えます。
「やってみたこと」「気づいたこと」を共有することで、
次のP(Plan)がどんどん質の高いものになっていきます。
小さくてもいいので、改善の見える化 をしておくと続きやすくなります。