IE(インダストリアル・エンジニアリング) 工程分析 改善知識 方法研究 調査(Measure)

詳細工程分析の全体像_製品工程分析・作業者工程分析の違いをやさしく解説

この記事で解決できる困りごと

  • 詳細工程分析で何が分析できるか分からない
  • 詳細工程分析をどんな場面で活用すればいいか分からない
  • 詳細工程分析をどんな手順で進めるか分からない

この記事でここを目指そう

  • 詳細工程分析と聞いて、どのような分析かイメージできる
  • 詳細工程分析の活用場面が理解できている
  • 詳細工程分析の進め方が理解できている

現場改善の基本は 現状把握 → 問題・原因の発見 → 改善案検討
この最初のステップである「現状把握」が曖昧なままだと、改善は方向違いになり、成果が出ません。

現場に立っていると、工程は見ているつもりでも、
モノの流れ・作業者の動き・滞留や在庫の発生ポイントまで正確に把握できていないことがあります。
「なんとなく忙しそう」「なんとなくムダがある気がする」では改善は進みません。

例えば、こんな経験はありませんか?

現場の感覚 分析後の現実
「工程が多い気がする」 → 実際は 加工5回・検査3回・運搬17回 …運搬がムダの主因だった
「仕掛が多くて場所が狭い」 滞留(D)と貯蔵(▽)が連続、在庫がボトルネック
「みんな忙しそうなのに生産量は増えない」 付加価値工程はごく一部、ムダ工程に時間が吸われていた

現場の“なんとなく”は、数字で見えるとまったく違う姿をしていることがよくあります。
詳細工程分析は現状把握を「見える化」し、事実ベースで改善を進めるための強力な武器になります。
感覚評価から数字で語れる改善へ。 これが詳細工程分析の最大の価値です。

単純工程分析で大まかな流れが見えたとしても、
「停滞している理由は?」「運搬は本当に必要?」「検査は過多では?」といった
深い気づきは、詳細工程分析でなければ掘れません。

作業を 加工/作業・検査・運搬/移動・停滞/手待ち の要素に分解し、
どの部分にムダが潜み、改善余地があるのかを可視化することで、

  • 仕掛・在庫削減
  • 動線短縮・運搬合理化
  • 手待ち削減による生産性向上

といった改善に直結します。

この記事では、詳細工程分析の基本から

  1. 記号の意味
  2. 分析図の作り方(手順)
  3. 改善につなげる見方のコツ

まで、現場でそのまま使える実務視点で解説していきます。


詳細工程分析(フロー・プロセス・チャート)とは?

詳細工程分析とは、
加工/作業・検査・運搬・滞留/停滞・貯蔵の5つの視点で、
現場の「モノや作業者の流れ」「状態の変化」を見える化する分析です。

工程の流れを図式化した 製品工程分析図(フロー・プロセス・チャート) を作成することで、

  • モノは流れの中のどこで加工/作業されるのか?
  • どこで停止・滞留・保管が発生しているのか?
  • 運搬距離・回数はムダに大きくないか?

といった問題点を可視化でき、改善の糸口を見つけていきます。

※工程分析の全体像はこちら:

※単純工程分析の全体像はこちら:

※IE(インダストリアル・エンジニアリング)の全体像はこちら:


詳細工程分析の種類

詳細工程分析には2つの視点があります。

① 製品工程分析

製品が「どの工程をどんな順番で通過するか」を示す分析です。
モノの流れを中心に製品工程分析図(フロー・プロセス・チャート)で整理し、工程の流れを俯瞰して改善したいときに使います。

<特徴>

  • 材料〜完成品までの「モノの流れ」を加工・検査・運搬・滞留・貯蔵の記号で整理
     → 工程全体を俯瞰でき、どこで止まるか?どこに運搬が多いか?が一目でわかる

  • 運搬・滞留・貯蔵といった非付加価値工程(ムダ)が可視化され、ボトルネック特定に強い
     → 在庫・仕掛・リードタイム改善に効果的

  • レイアウト・物流改善や流れの最適化に直結しやすく、生産ラインの設計改善に使える
     → 工程短縮、距離削減、流れ化(ライン化・セル化)に役立つ

<用途例>

  • 生産ラインの改善
  • レイアウト見直し
  • 物流設計
  • 新規工程設計の事前検討

※製品工程分析の詳細はこちら:

② 作業者工程分析

作業者が「どの作業をどんな順番で行っているか」を示す分析です。
人の流れ中心に作業者工程分析図(フロー・プロセス・チャート)で整理し、工程の流れを俯瞰して改善したいときに使います。

<特徴>

  • 人(作業者)の動きを時系列で追い、作業・検査・運搬・手待ち・停滞の記号で整理
     → 製品工程分析が「モノの流れ」、作業者工程分析は「人の動き」を可視化

  • 作業者の動作ロス(歩行・探す・持ち替え・待ち)を発見しやすく、改善ポイントが明確になる
     → 手待ち時間、移動距離、姿勢・段取りのムダが定量で見える

  • 工程の見直しに加え、作業標準・ラインバランシング・動作改善に直接つながる
     → 標準作業票、動画解析、作業手順改善と組合わせると特に効果大

<用途例>

  • 標準作業づくり
  • 工程内作業の改善
  • 人の動線改善
  • 作業負荷の均一化

※作業者工程分析の詳細はこちら:


詳細工程分析で使う工程図記号

覚えるのはとても簡単。
フロー・プロセス・チャートで使う基本記号は以下の5つです。
単純工程分析(○と□だけ)と比べて、より多くのムダを見える化できます。

① 製品工程分析

② 作業者工程分析

書き出して並べると、改善ポイントが一気に浮かび上がってきます。

特に【⇒ 運搬】【D 停滞】【▽貯蔵】は改善対象の宝庫です。


詳細工程分析の活用場面

改善の入口として非常に使いやすく、現場では以下のような場面で活用されます。

  • 単純工程分析を行い、改善ポイントが見えてきたとき
     →「どの工程にムダが多いか」だけでなく、なぜ発生しているかまで深掘りできる。

  • 仕掛・在庫・滞留が多く、流れが悪いと感じるとき
     → 停滞(D)、貯蔵(▽)が連続していれば改善の余地大。
     → リードタイム短縮・WIP削減に効きやすい。

  • 運搬が多く、作業者・製品の移動が長いと感じるとき
     → レイアウト改善・動線設計・物流改善の根拠を可視化できる。
     → 「動きすぎ」「持ち替えが多い」が数字で示せる。

  • 品質検査が多く、手待ちや後工程詰まりが起きているとき
    → 検査過多・工程バランス不良が浮き彫りになる。
    → 検査削減・工程統合・自動化の検討材料に。

  • 改善案の説得力を高めたい、現場を巻き込みたいとき
    → 記号化された図と結果表は説明資料として強い。
    → 感覚ではなく「事実と数字」で話せる。

まずは現状を数値と流れで目に見える形にし、改善対象を明確化することが目的です。

分析対象 視点 効果が出やすい改善領域
製品工程分析 モノの流れ レイアウト、運搬合理化、仕掛削減、リードタイム短縮
作業者工程分析 人の動き 工数削減、標準化、動作改善、ラインバランス調整

詳細工程分析の手順(全8ステップ)

手順そのものは単純工程分析と類似しますが、観察の粒度が高く、情報量が多くなります。
詳細工程分析は、以下の流れで進めます。

STEP1:目的を決める

STEP2:対象製品・対象範囲を決める

STEP3:観測方法を決める

STEP4:観測スケジュールを決める

STEP5:観測準備

STEP6:観測しながら詳細工程分析図にまとめる

STEP7:結果を整理する

STEP8:考察・改善案を検討する

詳細工程分析・作業者工程分析どちらも大きな流れは同じです。
それぞれの分析の詳細・手順・ポイントは、以下の記事で紹介します。

※製品工程分析の詳細はこちら:

※作業者工程分析の詳細はこちら:

-IE(インダストリアル・エンジニアリング), 工程分析, 改善知識, 方法研究, 調査(Measure)