この記事で解決できる困りごと
- 改善活動を体系的に進めたいが、手順が曖昧で迷う
- データに基づいた改善ができず、効果が出たり出なかったりしてしまう
- 改善が属人的で、再現性がなく定着しない
この記事でここを目指そう
- DMAICサイクルの基本を理解し、再現性のある改善ができるようになる
- データを活用し、原因の特定 → 対策 → 維持の流れをつかむ
- ライン改善・品質改善を着実に前へ進められる状態をつくる
「改善活動を進めたいけれど、原因が分からず手が止まってしまう…」
「対策をしたのに効果が出ない。どこが悪いのか分からない…」
品質改善・歩留まり改善・工程能力改善・ラインバランス改善など、製造業の課題の多くは “データと事実を正しく理解しないと改善できない” 類のものです。
そこで役立つのが DMAICサイクル(Define–Measure–Analyze–Improve–Control)。
品質工学やシックスシグマで広く使われる、再現性・ロジック重視の改善手法です。
この記事では、これから改善を体系的に進めたい方でも理解できるように以下を分かりやすく解説します。
- DMAICとは?
- 特徴
- 使いどころ
- 生産現場での活用イメージ
- まとめ
DMAICサイクル
Point:PDCAサイクル
<DMAICとは>
Define(定義)→ Measure(測定)→ Analyze(分析)→ Improve(改善)→ Control(管理)
の5ステップで問題を“論理的・定量的に”解決する改善手法。
原因特定 → 対策立案 → 効果検証 → 標準化までを一貫して進められるのが最大の特徴。
<特徴>
- データ重視(数字と事実で判断)
- 原因追究に強い(再現性のある改善)
- 改善を“維持・標準化”する仕組みまで作れる
- 大規模改善・品質改善に最適
<使いどころ>
- 不良率・歩留まり・品質課題の改善
- 設備能力・工程能力の向上
- 原因が特定できていない繰り返し不良
- バラツキを抑えたい工程(タクト、時間、寸法など)
- 大型プロジェクト・全社改善テーマ
1.DMAICサイクルとは?
DMAICサイクルは、問題解決のための体系的なフレームワークです。
現象の把握 → 要因の特定 → 改善の実行 → 結果の維持までを漏れなく進められます。
D(Define:問題の定義)
何を改善すべきなのかを明確にするステップ。
現象・目標・範囲・背景・想定インパクトを定義する。
例:
- 不良率5%を1%以下にしたい
- タクトのばらつきを減らしたい
- ラインのボトルネックを解消したい
M(Measure:測定)
“事実と数字” で現状を把握するステップ。
現象をデータで可視化し、改善すべきポイントを絞る。
例:
- 不良の発生頻度/時系列推移
- 作業時間のばらつき測定
- 工程能力(Cpk)の計算
- 工程内仕掛の量
A(Analyze:分析)
なぜその問題が起きているのか、阻害要因を特定するステップ。
仮説を立て、データと事実で原因を絞り込む。
例:
- 4M(Man/Machine/Material/Method)視点で原因探索
- 相関分析、層別、パレート
- 実験的トライで原因を確認
I(Improve:改善)
特定した阻害要因に対して改善策を実行するステップ。
対策案を比較・検証し、最適解を決める。
例:
- 作業方法の最適化
- 治具の改善
- 設備条件の変更
- レイアウトの見直し
C(Control:管理・維持)
改善後の状態を維持するステップ。
標準化・管理方法・チェック体制を決め、再発を防ぐ。
例:
- 標準作業書の更新
- 点検項目の追加
- 管理図によるモニタリング
- 教育・訓練
2.DMAICサイクルの特徴
DMAICは、一言で言うと『データとロジックで進める、再現性の高い改善サイクル』です。
以下の2つが特に強力です。
データに基づき原因・対策を決められる
PDSやPDCAよりも“分析”が深く、
感覚ではなく数字で原因を突き止めるのが得意です。
こんなときに有効:
- 不良が減らない(原因が複数)
- 設備条件の最適化が必要
- 作業時間のばらつきを抑えたい
- 原因に自信が持てない
改善後の“維持・定着”まで踏み込める
Control(管理)ステップがあるため、
やりっぱなし改善ではなく、
「再発防止」「標準化」までを一貫して進められます。
- 標準作業
- 点検・監視
- 教育
- 管理図
- KPI設定
大型テーマでは特に効果を発揮します。
3.DMAICサイクルの使いどころ
DMAICは “重めの課題を体系的に進めたいとき” に向いています。
① 品質改善(不良・歩留まり改善)
例:
- 寸法不良の発生要因特定
- ハンダ不良・焼き付き不良の解析
- 組立ムラによる品質ばらつき
② 設備・工程の能力向上
例:
- タクトの安定化
- 設備条件の最適化
- 工程能力(Cpk)の改善
③ 再発を防ぎたい課題
例:
- 何度も起きている不良の根絶
- 設備トラブルの再発防止
- 作業方法のばらつき解消
④ 全社テーマ・大型プロジェクト
例:
- 生産性大幅改善プロジェクト
- 品質強化プロジェクト
- 仕掛削減・リードタイム短縮プロジェクト
⑤ PDS・PDCAの“補完”として
- 日々の軽い改善 → PDS
- 小中規模改善 → PDCA
- しっかり分析すべきテーマ → DMAIC
と使い分けることで改善効率が上がります。
4.DMAICの活用例:不良率を下げたい場合
① Define(定義)
目的:不良率5% → 1%以下へ
範囲:工程Aのみ
背景:クレーム増加、歩留まり低下
② Measure(測定)
- 不良の内訳(パレート)
- 層別:作業者/時間帯/ロット/設備番号
- 工程内の流れを現地現物で確認し、動画で記録
③ Analyze(分析)
- 4Mで原因を洗い出し
- 特定ロット・特定作業者で発生しやすいことが判明
- 設備条件(温度)の変動と不良率に相関あり
④ Improve(改善)
- 設備温度管理の基準化
- 設定値変更+管理限度の設定
- 作業手順の修正と教育
⑤ Control(管理)
- 温度の管理表を作成し、毎ロット記録
- 異常値時の対応手順を標準化
- 管理図でトレンドを定期確認
→ 不良率5% → 0.8%まで減少
5.まとめ
- DMAICは“体系的・定量的”に改善を進めたい場面に最適
- Define–Measure–Analyze–Improve–Control の5ステップで進める
- データで原因を特定し、改善を持続させられる
- 品質改善・設備改善・大型プロジェクトに特に効果的
- PDS・PDCAと用途を分けると改善スピードと再現性が上がる
6.成功のコツ
① まずは“正しい定義”が最重要
テーマがズレると、後工程すべてが無駄になる。
「何を」「なぜ」「どこまで」を最初に明確化する。
② データと現地現物の両方を使う
データだけだと“現象のリアル”が欠ける。
現地現物だけだと“バイアス”が入る。
両方を組み合わせて原因を見極める。
③ 仮説 → 検証を丁寧に進める
Analyzeは最も時間がかかるフェーズ。
ここを省くと改善の効果が不安定になる。
④ 対策の優先順位をつける
費用対効果・インパクト・工数で絞る。
「確実に効くもの」から実行するのが鉄則。
⑤ 標準化・維持の仕組みを必ずつくる
改善後の状態は、何もしないと必ず劣化する。
Controlで
- 標準書
- 点検表
- 管理図
- 教育
などを整備し“改善の定着”を目指す