この記事で解決できる困りごと
- タクトタイムの意味がよく分からない
- サイクルタイムとの違いが曖昧
- ライン設計とどう関係するのか分からない
この記事でここを目指そう
- タクトタイムとは何かが説明できる
- タクトタイムの計算方法を理解している
- タクトタイムとライン設計の関係を理解している
生産ライン設計を行うとき、最初に決める重要な指標があります。
それが タクトタイム(Takt Time) です。
タクトタイムは、
- 工程設計
- ライン設計
- ラインバランス
- 生産能力
など、生産ライン設計の基準になります。
しかし現場では、
- タクトタイムの意味がよく分からない
- サイクルタイムとの違いが曖昧
- ライン設計とどう関係するのか分からない
というケースも少なくありません。
この記事では、生産ライン設計の基礎として、
- タクトタイムとは何か
- タクトタイムの計算方法
- タクトタイムとライン設計の関係
を分かりやすく解説します。
タクトタイムとは
タクトタイムとは、
「顧客の需要を満たすために必要な、製品排出の間隔」
のことです。
簡単に言うと、
どれくらいの間隔でお客様が製品を引いていくか
どれくらいの間隔で製品を出していく必要があるか
を表す時間で、
需要(必要生産量)で決まる
指標です。

例えば
- 1日 240個の注文がある
- 稼働時間が 480分
この場合、
480分 ÷ 240個 = 2分
つまり、2分に1個製品を出す必要があります。
この 2分がタクトタイムです。
タクトタイムの役割(工程設計との関係)
タクトタイムは、
生産ライン設計の基準(=モノづくりの基準)
になります。
生産ライン設計の基本構造は次の通りです。
①需要
↓
②タクトタイムを算出
↓
③”タクトタイムを基準” に工程設計
↓
④”タクトタイムを基準” にライン設計
つまり、
タクトタイムに合わせて工程・ラインを設計する
という考え方になります。
タクトタイムは、工程分割や工程能力の基準になります。
※工程設計とは:
工程設計とは|生産ライン設計の基本と正しい進め方【7ステップで解説】
※工程分割とは:
工程分割とは|生産ライン設計での分け方と失敗しない考え方を解説
※工程能力とは:
タクトタイムの計算方法
タクトタイムは次の式で計算します。
タクトタイム = 稼働時間 ÷ 必要な生産数量
計算例
<条件>
- 稼働時間:480分
- 生産数量:240個
<計算>
480 ÷ 240 = 2分
つまり、2分に1個作る必要があります。
より具体的な計算方法はこちらで解説しています。
※タクトタイムの計算方法:
タクトタイムの計算方法|計算式・具体例・稼働時間の考え方を解説
稼働時間の考え方
稼働時間は
勤務時間 − 休憩 − 停止時間
で計算します。
<例>
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| 勤務時間 | 480分 |
| 休憩 | 60分 |
| 停止時間 | 20分 |
<稼働時間>
稼働時間 = 勤務時間480分 − 休憩時間60分 − 停止時間20分 = 400分
稼働時間の設定は工程能力にも影響します。
※工程能力とは:
タクトタイムとサイクルタイムの違い
タクトタイムと似た言葉に サイクルタイム があります。
サイクルタイムとは、
「1つの製品を作るのにかかる実際の時間」
のことです。
簡単に言うと、
どれくらいの間隔で製品が実際に排出されるか
を表す時間で、
供給能力によって決まる
時間です。

タクトタイムとサイクルタイムの違いをまとめるとは次の通りです。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| タクトタイム | 必要な生産速度(需要で決まる基準時間) |
| サイクルタイム | 実際の作業時間(供給できる間隔) |
これを踏まえると、生産ラインを設計する際のタクトタイムとサイクルタイムの関係は
サイクルタイム(供給できる時間) ≦ タクトタイム(需要で決まる基準時間)
になる必要があります。
もし
サイクルタイム(供給できる時間) > タクトタイム(需要で決まる基準時間)
になると、
需要に対して生産が間に合いません。
タクトタイムとサイクルタイムは混同されやすいので、注意が必要です。
※タクトタイムとサイクルタイムの違い:
タクトタイムとサイクルタイムの違い|生産ライン設計で重要な関係を解説
タクトタイムの使い方
①工程分割の基準
工程を ”どこで分けるか” を決める基準になります。
各工程のサイクルタイムがタクトタイムに収まるように分割します。
サイクルタイム(工程時間)≒ タクトタイム
※工程分割とは:
工程分割とは|生産ライン設計での分け方と失敗しない考え方を解説
②工程能力の判断
その工程が ”間に合うか” を判断する基準になります。
各工程のサイクルタイムがタクトタイム以内かで、ラインの成立を判断します。
工程能力 ≦ タクトタイム
※工程能力とは:
③ボトルネックの特定
”流れを止めている” 工程を見つける基準になります。
タクトタイムを超えている工程をボトルネックとして特定します。
サイクルタイムがタクトタイムを超える工程 ≒ ボトルネック
※ボトルネックとは:
ボトルネックとは?生産ラインが止まる原因と改善の考え方を解説

タクトタイムとラインバランス
生産ラインでは
各工程の作業時間がタクトタイム以下
になるように調整します。
これを、ラインバランシング と呼びます。
<例>
タクトタイム60秒の場合
| 工程 | 時間 |
|---|---|
| 工程1 | 50秒 |
| 工程2 | 45秒 |
| 工程3 | 55秒 |
のように
すべて60秒以内
にする必要があります。
タクトタイムに対してラインバランスが崩れるとボトルネックが発生します。
※ラインバランスとは:
ラインバランスとは?意味・計算方法(ラインバランス効率)・改善の基本を解説
※ボトルネックとは:
ボトルネックとは?生産ラインが止まる原因と改善の考え方を解説
タクトタイムは見える化する
タクトタイムは計算するだけでは意味がありません。
計算、見える化、基準化して使うことが重要です。
実務では、
- 山積み表
- 工程一覧
- ラインバランス
と組み合わせます。
まとめ
・タクトタイムとは
どれくらいの間隔でお客様が製品を引いていくか = 製品を出していく必要があるか
・計算式は
タクトタイム = 稼働時間 ÷ 生産数量
・タクトタイムは
生産ライン設計の最も基本となる指標
・タクトタイムは
工程設計の出発点
であり、生産ラインは以下の手順で設計
①需要
↓
②タクトタイムを算出
↓
③”タクトタイムを基準” に工程設計
↓
④”タクトタイムを基準” にライン設計
タクトタイムは単体でなく、工程設計・ライン設計全体の中で使うことが重要です。
タクトタイムを正しく使うと、以下が出来ます。
・生産が間に合う
・ボトルネックが分かる
・人員配置に根拠が持てる
※工程設計とは:
工程設計とは|生産ライン設計の基本と正しい進め方【7ステップで解説】
※生産ライン設計とは: