工程設計

工程設計とは|生産ライン設計の基本と正しい進め方【7ステップで解説】

この記事で解決できる困りごと

  • 工程設計とは何か分からない
  • 工程設計の進め方が分からない
  • 工程設計を進める際の実務でのポイントが分からない

この記事でここを目指そう

  • 工程設計とは何かを説明できる
  • 工程設計の進め方(8ステップ)を説明できる
  • 工程設計のポイントを理解している

生産ライン設計において、最初に行うべき重要な工程が 工程設計 です。
しかし現場では

  • とりあえず工程を並べる
  • 感覚で工程を分ける
  • 後からバランス調整する

といった進め方になっていることも少なくありません。
その結果

  • 生産が間に合わない
  • ボトルネックが発生する
  • 人員が増える

といった問題が起きます。

工程設計は本来、
順序立てて構造的に行うものです。

この記事では

  • 工程設計とは何か
  • 正しい進め方(8ステップ)
  • 実務でのポイント

を分かりやすく解説します。


工程設計とは

工程設計とは
 製品を作るための「作り方(工程の流れ)」を決めること
です。

具体的には

  • どの順番で加工するか
  • どのくらいの時間で作業を行うか
  • どの設備を使うか
  • 人がやるのか機械がやるのか
  • どのように材料を流すか

こういった内容を決めていくのが工程設計です。

※タクトタイムとは:


なぜ工程設計が重要なのか?

工程設計が必要な理由はシンプルで、
 工程設計で工場の流れが8割が決まるから
です。

  • ムダがある工程 → ずっと効率が悪い
  • 無理な流れ → 品質不良・負荷増大
  • バランスが悪い → 人が余る or 足りない

後からの改善では限界があるので、
「最初の設計」が重要になります。

※ボトルネックとは:

※ラインバランスとは:

ラインバランスとは?意味・計算方法(ラインバランス効率)・改善の基本を解説

工程設計と生産ライン設計の関係

工程設計と生産ライン設計は別の作業でなく、
一連の流れの中でつながっている関係です。

まず役割を整理すると、
・工程設計 = 作り方を決める
・生産ライン設計 = 形にする
です。

工程設計では、

  • 工程順序
  • 工程分割
  • 工程能力

を決めます。
その内容をもとに、生産ライン設計で

  • 人員配置
  • 設備配置
  • 物流の流れ

を具体化していきます。
この関係は以下の流れで繋がります。

需要

タクトタイム

生産方式(ライン生産・セル生産)

工程設計(工程順序・工程分割・工程能力)

生産ライン設計(人員配置・設備配置・物流)

生産ライン成立

ここで重要なのは、
工程設計が不十分だと、生産ラインは成立しない
という点です。

例えば、工程ごとのサイクルタイムが揃っていないと、
ボトルネック工程が発生し、流れが止まる
ため、レイアウトだけ整えても意味がありません。

そのため、
工程設計 → 生産ライン設計の順で考えることが重要
です。

この2つをセットで考えることで、
実際に流れる生産ラインを設計できるようになります。

※生産ライン設計とは:

※ラインバランスとは:

※タクトタイムとサイクルタイムの違い:


工程設計の目的

工程設計の目的は次の3つです。

① 生産効率の向上

ムダのない流れを作る

② 品質の安定

バラツキを減らす

③ コストの最適化

人・設備の無駄を減らす

※生産性とは:

※標準作業とは:


工程設計の全体像

工程設計は次の流れで行います。
この流れはとても重要なのでしっかり押さえましょう。

① 工程順序
② 作業設計
③ 作業方法・設備
④ 工程分割
⑤ 工程能力確認
⑥ 材料の流し方
⑦ タクトタイムとの整合確認

※タクトタイムとは:

※工程分割とは:

※工程能力とは:


工程設計で決めること(5つの視点)

工程設計では主にこの5つを決めます。

① 工程順序

作業の流れを決める。

  • 加工・組立の順番
  • 前後関係の整理

② 作業方法・設備

作業の内容・手段を決める。

  • 手作業 or 自動化
  • 使用設備・治具の選定

③ 工程分割

作業単位を決める。

  • どこまでを1工程にするか
  • 作業単位の切り方

④ 工程能力

工程のサイクルタイムがタクトタイムを満たせるかを確認

  • 各工程の処理能力
  • タクトタイムを満たせるかの判断

⑤ 材料の流し方

工程内における材料の流し方を決める。

  • 搬送方法
  • 在庫の持ち方

※工程分割の詳細はこちら:

※工程能力とは:

※レイアウト設計とは:


工程設計の進め方(7ステップ)

工程設計は以下の7ステップで進めます。

事前準備 需要確認・タクトタイム設定

まずは

  • 必要生産数量(需要)
  • 稼働時間

からタクトタイムを決めます。
 タクトタイム = 稼働時間 ÷ 必要生産数量
です。

タクトタイムは、ライン設計の基準になります。

※タクトタイムの計算方法はこちら:

STEP1 工程順序

次に

  • 加工順序
  • 組立順序
  • 前後関係

を整理します。

STEP2 作業設計

各工程の作業内容を設計します。

  • 動作の最適化
  • ムダの排除

ここでは、IE手法を活用しながら設計を行います。

※IEの基礎はこちら:

STEP3 作業方法・設備

  • 手作業 or 自動化
  • 使用設備

を決定します。

STEP4 工程分割

工程をどこで区切るかを決めます。

  • 作業単位
  • 分け方

※工程分割の詳細はこちら:

STEP5 工程能力確認

各工程が
 工程能力 ≧ 必要生産量
を満たしているか確認します。

※工程能力の詳細はこちら:

STEP6 材料の流し方

最後に

  • 搬送方法
  • 在庫の持ち方

を設計します。

STEP7 タクトタイムとの整合確認(ライン成立確認)

  • ラインバランス
  • ボトルネック

を確認します。

※ラインバランスとはこちら:

※ボトルネックとは:


 工程設計の具体例(ステップ別)

以下の例を通して、工程設計の具体的な流れを見てみましょう。

・製品:簡単な組立製品
・生産必要台数(需要):60 個
・稼働時間:60 分

STEP1 需要確認・タクトタイム設定

 タクトタイム = 稼働時間 ÷ 必要生産数量
で計算できるので、
 タクトタイム = 60 分 ÷ 60 個 = 1 分 / 個
です。

解説

今回のケースでは、
1分に1個作る必要があります。

ここで重要なのは、
タクトタイムは、すべての「制約条件」
になるということです。

以降すべて、タクトタイムを制約に考えていきます。

STEP2 工程順序

製品の組立順序を設定します。

① 部品セット
② 組立+ 締結
③ 検査

解説

以下のポイント守って、作業の流れを決定します。

  • 前後関係を守る
  • 無理な順序にしない

STEP3 作業設計

STEP2で決めた組立順序を工程に割り付け、
各工程のサイクルタイムを割り付けます。

初期状態

工程①:部品セット(30秒)
工程②:組立(50秒)+締結(40秒)
工程③:検査(30秒)

この際、
工程②:組立+締結90秒 > タクトタイム60秒
と、サイクルタイムがタクトタイムを超えているためNGです。

改善

IEなどを活用して現状の詳細分析を行い、改善を行います。
<例>
 組立作業:50秒 → 40秒に改善

<改善内容>
 ・手の動き削減
 ・部品配置改善

各工程のサイクルタイムがタクトタイム60秒に近づくよう、
工程②を改善します。

解説

サイクルタイムがタクトタイムを超えている場合、
作業を改善してタクトタイム以内に収める、もしくは近づけます。

STEP4 設備・作業方法

<例>

締結:手作業 → 電動工具導入

<結果>

40秒 → 30秒

解説

設備や治具、作業方法の変更で能力向上させます。

STEP5 工程分割

STEP3・4でサイクルタイムがタクトタイムに収まらない場合、
工程分割をおこないます。

改善後

工程①:部品セット(30秒)
工程②:組立+締結(70秒)
工程③:検査(30秒)

この際、
工程②:組立+締結70秒 > タクトタイム60秒
と、サイクルタイムがタクトタイムを超えているためNGです。

工程分割

工程①:部品セット(30秒)
工程②:組立(40秒)
工程③:締結(30秒)
工程④:検査(30秒)

各工程のサイクルタイムがタクトタイム60秒に収まるよう、
工程②を、組立と締結で分割します。

解説

サイクルタイムがタクトタイムを超えている場合、
工程を分割してタクトタイム以内に収めます。

STEP6 工程能力確認

最終の工程サイクルタイム

工程①:30秒 < タクトタイム 60秒
工程②:40秒 < タクトタイム 60秒
工程③:30秒 < タクトタイム 60秒
工程④:30秒 < タクトタイム 60秒

判定

すべての工程のサイクルタイムがタクトタイム60秒以内 → OK

解説

ここで初めて、工程が成立可能

STEP7 ライン成立性

ここでラインが成立するかをチェック

  • 工程の最大サイクルタイム:40秒
  • タクトタイム:60秒

余裕あり

解説

ボトルネックなし → ライン成立

STEP8 材料の流し方

<例>

直線ライン配置 → 1個流し

解説

ここで

  • 搬送効率
  • 在庫

を決めます。

まとめ

① タクトタイムがすべての基準
② 作業改善と設備が重要
③ 工程分割だけでは不十分
④ 最後に成立性チェックが必要

※ラインバランスとは:

ラインバランスとは?意味・計算方法(ラインバランス効率)・改善の基本を解説

※ボトルネックとは:


よくある失敗パターン

パターン1: タクトタイムを考えない

→ 設計崩壊

パターン2: 工程能力を見ない

→ 生産不足

パターン3: 作業設計を省略

→ ムダ発生

パターン4: 感覚で分割

→ ラインバランス崩壊

パターン5:とりあえず既存踏襲

→ ムダをそのまま継承

パターン6: 設備ありき

→ 本来不要な工程が残る

パターン7: 人の作業を考えていない

→ 負荷バラツキ・ミス増加

パターン8: 物流を後回し

→ レイアウト崩壊

※タクトタイムの決め方:


まとめ

工程設計とは、
 製品を作るための「作り方(工程の流れ)」を決めること
です。

需要

タクトタイム:基準を設定

生産方式(ライン生産・セル生産)

工程設計(工程順序・工程分割・工程能力):作り方を設計

生産ライン設計(人員配置・設備配置・物流):形にする

生産ライン成立

の順で考えることが重要です。

※タクトタイムとは:

※生産ライン設計とは:

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