この記事で解決できる困りごと
- 工程設計とは何か分からない
- 工程設計の進め方が分からない
- 工程設計を進める際の実務でのポイントが分からない
この記事でここを目指そう
- 工程設計とは何かを説明できる
- 工程設計の進め方(8ステップ)を説明できる
- 工程設計のポイントを理解している
生産ライン設計において、最初に行うべき重要な工程が 工程設計 です。
しかし現場では
- とりあえず工程を並べる
- 感覚で工程を分ける
- 後からバランス調整する
といった進め方になっていることも少なくありません。
その結果
- 生産が間に合わない
- ボトルネックが発生する
- 人員が増える
といった問題が起きます。
工程設計は本来、
順序立てて構造的に行うものです。
この記事では
- 工程設計とは何か
- 正しい進め方(8ステップ)
- 実務でのポイント
を分かりやすく解説します。
工程設計とは
工程設計とは
製品を作るための「作り方(工程の流れ)」を決めること
です。
具体的には
- どの順番で加工するか
- どのくらいの時間で作業を行うか
- どの設備を使うか
- 人がやるのか機械がやるのか
- どのように材料を流すか
こういった内容を決めていくのが工程設計です。
なぜ工程設計が重要なのか?
工程設計が必要な理由はシンプルで、
工程設計で工場の流れが8割が決まるから
です。
- ムダがある工程 → ずっと効率が悪い
- 無理な流れ → 品質不良・負荷増大
- バランスが悪い → 人が余る or 足りない
後からの改善では限界があるので、
「最初の設計」が重要になります。
工程設計の目的
工程設計の目的は次の3つです。
① 生産効率の向上
ムダのない流れを作る
② 品質の安定
バラツキを減らす
③ コストの最適化
人・設備の無駄を減らす
工程設計の全体像
工程設計は次の流れで行います。
この流れはとても重要なのでしっかり押さえましょう。
需要
↓
タクトタイム
↓
工程順序
↓
工程分割
↓
作業設計
↓
設備・作業方法
↓
工程能力確認
↓
ライン成立性確認
↓
物流(材料の流し方)
※タクトタイムの基礎はこちら:
タクトタイムとは?意味・計算方法・サイクルタイムとの違いをわかりやすく解説
工程設計で決めること(5つの視点)
工程設計では主にこの5つを決めます。
① 工程順序
- 加工・組立の順番
- 前後関係の整理
② 工程分割
- どこまでを1工程にするか
- 作業単位の切り方
※工程分割の詳細はこちら:
③ 設備・作業方法
- 手作業 or 自動化
- 使用設備の選定
④ タクトタイムとの整合
- 生産能力とのバランス
- ライン成立性
※タクトタイムの基礎はこちら:
タクトタイムとは?意味・計算方法・サイクルタイムとの違いをわかりやすく解説
⑤ 材料の流し方(物流)
- 搬送方法
- 在庫の持ち方
工程設計の進め方(8ステップ)
工程設計は以下の8ステップで進めます。
STEP1 需要確認・タクトタイム設定
まずは
- 必要生産数量(需要)
- 稼働時間
からタクトタイムを決めます。
タクトタイム = 稼働時間 ÷ 必要生産数量
です。
タクトタイムは、ライン設計の基準になります。
※タクトタイムの計算方法はこちら:
タクトタイムの計算方法|計算式・具体例・稼働時間の考え方を解説
STEP2 工程順序(ルート設計)
次に
- 加工順序
- 組立順序
- 前後関係
を整理します。
STEP3 工程分割
工程をどこで区切るかを決めます。
- 作業単位
- 分け方
※工程分割の詳細はこちら:
STEP4 作業設計(IE)
各工程の作業内容を設計します。
- 動作の最適化
- ムダの排除
ここでは、IE手法を活用しながら設計を行います。
※IEの基礎はこちら:
IE(インダストリアル・エンジニアリング)の全体像_IEとは何か?目的と役割をわかりやすく解説
STEP5 設備・作業方法
- 手作業 or 自動化
- 使用設備
を決定します。
STEP6 工程能力確認(超重要)
各工程が
工程能力 ≧ 必要生産量
を満たしているか確認します。
※工程能力の詳細はこちら:
STEP7 ライン成立性確認
- ラインバランス
- ボトルネック
を確認します。
※ラインバランスとはこちら:
※ボトルネックとはこちら:
STEP8 材料の流し方(物流)
最後に
- 搬送方法
- 在庫の持ち方
を設計します。
工程設計の具体例(ステップ別)
以下の例を通して、工程設計の具体的な流れを見てみましょう。
・製品:簡単な組立製品
・生産必要台数(需要):60 個
・稼働時間:60 分
STEP1 需要確認・タクトタイム設定
タクトタイム = 稼働時間 ÷ 必要生産数量
で計算できるので、
タクトタイム = 60 分 ÷ 60 個 = 1 分 / 個
です。
解説
今回のケースでは、
1分に1個作る必要があります。
ここで重要なのは、
タクトタイムは、すべての「制約条件」
になるということです。
以降すべて、タクトタイムを制約に考えていきます。
STEP2 工程順序
製品の組立順序を設定します。
① 部品セット
② 組立
③ 締結
④ 検査
解説
以下のポイント守って、作業の流れを決定します。
- 前後関係を守る
- 無理な順序にしない
STEP3 工程分割
STEP2で決めた組立順序を工程に割り付け、
各工程のサイクルタイムを割り付けます。
初期状態
工程①:部品セット(30秒)
工程②:組立+締結(90秒)
工程③:検査(30秒)
この際、
工程②:組立+締結90秒 > タクトタイム60秒
と、サイクルタイムがタクトタイムを超えているためNGです。
改善
工程①:部品セット(30秒)
工程②:組立(50秒)
工程③:締結(40秒)
工程④:検査(30秒)
各工程のサイクルタイムがタクトタイム60秒に収まるよう、
工程②を、組立と締結で分割します。
解説
サイクルタイムがタクトタイムを超えている場合、
工程を分割してタクトタイム以内に収めます。
STEP4 作業設計
<例>
組立作業:50秒 → 40秒に改善
<改善内容>
- 手の動き削減
- 部品配置改善
解説
工程分割だけでは不十分な場合、作業自体を改善する
STEP5 設備・作業方法
<例>
締結:手作業 → 電動工具導入
<結果>
40秒 → 25秒
解説
設備や作業方法の変更で能力向上
STEP6 工程能力確認
最終の工程サイクルタイム
工程①:30秒 < タクトタイム 60秒
工程②:40秒 < タクトタイム 60秒
工程③:25秒 < タクトタイム 60秒
工程④:30秒 < タクトタイム 60秒
判定
すべての工程のサイクルタイムがタクトタイム60秒以内 → OK
解説
ここで初めて、工程が成立可能
STEP7 ライン成立性
ここでラインが成立するかをチェック
- 工程の最大サイクルタイム:40秒
- タクトタイム:60秒
余裕あり
解説
ボトルネックなし → ライン成立
STEP8 材料の流し方
<例>
直線ライン配置 → 1個流し
解説
ここで
- 搬送効率
- 在庫
を決めます。
まとめ
① タクトがすべての基準
② 工程分割だけでは不十分
③ 作業改善と設備が重要
④ 最後に成立性チェックが必要
よくある失敗パターン
パターン1: タクトタイムを考えない
→ 設計崩壊
パターン2: 工程能力を見ない
→ 生産不足
パターン3: 作業設計を省略
→ ムダ発生
パターン4: 感覚で分割
→ ラインバランス崩壊
パターン5:とりあえず既存踏襲
→ ムダをそのまま継承
パターン6: 設備ありき
→ 本来不要な工程が残る
パターン7: 人の作業を考えていない
→ 負荷バラツキ・ミス増加
パターン8: 物流を後回し
→ レイアウト崩壊
【実務ポイント】工程設計は見える化が重要
ここまで理解できたら、次は実務です。
ただ実際の現場では
- 工程のバランスが分からない
- ボトルネックが見えない
- 人員配置に根拠がない
といった問題が発生します。
工程設計は
頭の中ではなく
見える化して設計することが重要
です。
そのため現場では
- 山積み表
- ラインバランス
- 工程一覧
を見える化して管理します。
まとめ
工程設計とは
生産の流れを構造的に設計すること
です。
タクト
↓
工程順序
↓
工程分割
↓
工程能力
↓
ライン成立
の順で考えることが重要です。